野球少年物語

野球をもっと好きになる。一生懸命頑張る野球少年の物語

短編集「小さき者へ」

重松清さんの本を読んでます。
以前、ブログでも書いた短編集「小さき者へ」です。
短編集に収められている「三月行進曲」が読みたくて
そこだけ読んでしばらく放置してました。

思い出したように残りの小説も読みました。
正直、共感できる話とそうでないものがありました。
中でも「青あざのトナカイ」という話はハマりました。
乱暴にあらすじを言うと主人公が脱サラして
ピザ屋を始めたけど失敗して一年半で店をたたんで
嫁さんと子供は広島の実家に帰ってしまって
なんもやる気がなく一か月が経ち、、、
さて、これからどうしましょう、って話。
そこはいいんです。
まぁよくないけど。
ぐっと来たのは、いろいろあって主人公の心境が変わった時
-----引用-----
ずうっと。一生、残るかもしれない。しかたない。負けは、負けだ。
だが、「負け」と「終わり」とは、違う。
違っていてほしいーーーと思う。
-----引用-----
今までの自分を顧みて、前向きになった瞬間だ。
負けは終わりじゃない。
私もそう思う。
なんか今の自分に重なって
すっと入ってきました。

そして、「団旗はためくもとに」の一節。
父と娘。
いろいろあって娘は高校を中退するという。
まぁ、困った困ったという展開。
自分だったらマジ困るだろうな。
息子、頼むから中退するとか言わないでね。
というか高校入れるかな。
ま、そこはいいんです。

父と娘、河川敷のグランドの前に立つ。
少年野球の試合の後だったらしく、
スコアボードを見ると試合は一方的なコールドゲーム
負けたチームは最終回に1点しか取れていない。
父がスコアボードを見て娘に言った言葉が沁みました。
-----引用-----
「負けたチームの最後の1点があるだろ、
お父さん、ああいうのが大好きなんだ。
試合の勝ち負けとかコールドになるかどうかとか関係なく、
とにかく1点を取った、それがいいんだよなぁ」
-----引用-----
わかる気がします。
たぶん、両チームの力の差は歴然。
試合をやる前から結果は見えていたかもしれない。
でも、負けると思って試合はしません。
そんな強い相手にもぎ取った1点は価値がある。
とにかく1点を取った。
それに尽きると思います。

負けは負けだけど終わりじゃない。
試合の勝ち負けとかじゃない。
精一杯やったかどうかだ。
三位決定戦に向けてがんばろう。